奪い貪る三首の業報
奪い貪る三首の業報 | |
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読み | アジ・ダハーカ |
作品名 | 黒白のアヴェスター |
分類 | 能力 |
使用者 | 龍神(義者Ver)、カイホスルー(不義者Ver) |
作中体系 | 戒律 |
能力について
- 神座万象シリーズの黒白のアヴェスターに登場する能力。
- 戒律の一つ。大義式戒律。
- 財を惜しまず消費するという誓約に対してその消費に見合う報酬を得る能力。
- 元々は龍晶星が星に住まう義者に課した大義式戒律で
- 意図的に配置した不義者を主の恵みとして有り難く賜って苛むという誓約に対して精神的な充足を得て不安・不満・迷妄をなくす効果があった。
義者Ver.
誓約
- 不義者を虐げる
- ただし殺してはならず限界まで痛めつけること。
ごく少数の不義者を生贄として吊し上げ、彼らを嬲る行為により救いを得ること。言わ ば共有財産の効率的な管理、及び消費からなる娯楽である。
精神的な充足
- 麻薬のように不安や不満、迷妄から解放される
- どんな願い事も叶うほどの効果はなく気分がよくなる程度。
- 義者たちの結束が強まり星の運営を安定させるための大義式戒律。
そこに自由意思は不要。盲目に群体としての務めを果たせばよいと星霊は考えており、 約束した“幸せ”とやらも気分以上のものではなかった。災害で壊れた家屋が自動的に復 元したり、病に苦しむ者が立ちどころに完治したり、そういった目に見える救いとは違う。 ただ気にしないようになるだけ。まるで麻薬の幻覚めいた実のない充実を得るだけだ。
不義者Ver.
絶対的な等価交換
- 財産の消費を惜しまない
- ここでいう財産は純粋な資源から部下などの人的資源、己の肉体すらも含まれる。
- 己の細胞たる星の生命を消費すれば強靭に、金銀財宝を消費すれば貴石化の権能が強化される。
- 物資・部下・己の肉体の三種をもって三つ首の龍を表している。
『惜しまず財を消費する』という縛りによって、『確実に対価をもぎ取る』戒律。ここに 至るまで様々な痛みと引き換えに、彼は多くの戦果を手にしてきた。ゆえに自負は固かっ たが、力の成り立ちを思えば殊更誇る気にもなれない。事実上、カイホスルーは望まぬ 等価交換を未だに強制されている。
使用者との関連性
龍神の場合
- 自身の安寧のために課す
- ワクチン接種のように少数の不義者を入れることでより強固な義者の星になる。
本来、自領内に黒を混ぜないはずの白い星が、不義者を少数ながらも配置する縛りでリ スクを負った。その見返りとして義者たちの結束は強まり、龍神の支配力が増すという寸 法だ。
カイホスルーの場合
- 転墜後に残った大義式戒律
- 財を消費すれば間違いなく対価を得られる仕組みになったが代償を負いたくない渇望を持つため非常に不満。
- また使用者は神座を手に入れて全て取り戻すと決めているため『消費』の概念に抵触するリスクが常に付きまとう。
ただし誤算も存在した。転墜により裏返った黒白と同じく戒律も反転した形で引き継が そこがどうにも不愉快でならない。 何せ元は龍神の大義式戒律。勝手に負わされたものでカイホスルーの意志とは関係なく、 にも拘らず影響が残るのは前世の業に縛られているようで気分が悪かった。財を消費すれ ば間違いなく対価を得られる仕組みになったので改良されたと見てもいいが、等価交換の 原則自体は依然として消えぬまま。失わずにあらゆる宝を掴むと決めた身が、未だ行動に 代償を要求されている。
その他
元ネタ
- アジ・ダハー(アヴェスター語:Aži Dahā)、アジ・ダハーカ(パフラヴィー語:Aži Dahāka)
- ゾロアスター教に登場する怪物。インド神話のヴリトラに対応すると考えられている。
- 名前のアジは「蛇」を意味する(ダハーカの方は不明)。現代ではドラゴンとされている。
- 『アヴェスター』は3頭3口6目の容姿で千の技と千の生命を持ち、「角があるアジ」「血塗られた棍棒を持つアジ・ダハーカ」と呼ばれる強力な悪魔とされている。
- 体は毒素で黄色く、木ほども育った毒草が尻尾のところで繁茂し、全身から毒が槍の高さほど吹き出しているという。
- その翼は広げると天を隠すほどに巨大と描写された。頭はそれぞれが「苦痛」、「苦悩」、「死」を表している。
- 悪神アンラ・マンユがあらゆる生物を殺すために創造したものとして恐れられた。
- 神話において千の魔法などを駆使し、アフラ・マズダー配下の火の神アータルなどと戦った。
- ゾロアスター教の讃歌『アルドワヒシュト・ヤシュト』では北風はアジ・ダハーカの血筋とされている。
- 同じく讃歌の『アーバーン・ヤシュト』では水神アルドウィー・スーラー・アナーヒターに百頭の雄馬、千頭の牛、一万頭の子羊を捧げ、
- 七洲(世界)全てを無人にする恩恵を求めたが神は応えなかった。
- 同じく讃歌の『ザムヤード・ヤシュト』でアジ・ダハーカはアータルと光輪を奪い合った。
- アータルが光輪を手に入れようとすると「お前を吹き消してやる。そうされてもお前はアシャの命を焼かないために大地を燃え上がらせることはできまい」
- と脅しをかけたのでアータルは命を惜しんで取るのをやめた。
- しかしアータルも「お前の尻と口を燃やしてアシャの生物を滅ぼすために大地を襲う真似をできなくしてやる」と脅したので萎縮して退いた。
- その後でアジ・ダハーカは英雄スラエータオナとも戦う。剣を刺した場所から爬虫類などの邪悪な生き物が這い出すため、スラエータオナはアジ・ダハーカを殺すことができなかった。
- そのためダマーヴァンド山の地下深くに幽閉したといわれている。
- 終末の時に解き放たれて人や動物の3分の1を貪ることも、最後に英雄クルサースパに殺されることも、すでに決まっているとされている。
- 『王の書』(シャー・ナーメ)ではアジ・ダハーカは両肩から蛇を生やした悪王ザッハークという名前で登場し、
- フェリドゥーン(ゾロアスター教におけるスラエータオナのこと)に退治される。
関連項目
引用元