煉術
ナビゲーションに移動
検索に移動
| 煉術 | |
|---|---|
| 作品名 | 煉獄姫 |
| 用語分類 | 術技分類 |
| 作中体系 | - |
用語について
来歴
- 煉獄の発見から二年後に編み出された、毒気から万物を創造する技術
- 作中の二十三年前に実用化されて産業革命の基盤となった
異界に満ちた大気は、特異な性質を帯びていた。 即ち、外部刺激と人の意志に干渉して森羅万象に変化する、という。 草木を望めば草木に、岩を望めば岩に。それどころか金銀を含めたあらゆる鉱物に。更には 光に、火に、風に、水に、ことによると生物にすらにも。 (中略) とはいえ、一時的、仮想的にでも物質や力場を自在に作り出せるというのは素晴らしく有用 な技術であることに変わりない。要は消える前に使ってしまえばいいのだ。 毒気が人の健康を害すという欠点はあったし、倫理や宗教の観点から社会に波紋を投げかけ はしたものの、結局人々はその業を受け入れる。 かくして産業革命は成った。他国よりも一足先んじ、ここ瑩国が、世界で初めて。
万物創造
- 毒気から指定した性質の仮想物質を作り出す
- この世にない物質を生成できるため疑似的に物理を無視可能。
その煉獄から取り出した毒気で万物を創成する業が即ち煉術であり、煉術を使用する人間の ことを、一般に煉術師という。
- 指定したものを作り出すには煉獄の世界に通じる翻訳手段が必要
- 翻訳の精度と速度が煉獄術師の力量となる。
毒気は人の意思に反応してその姿を変える性質を持ち合わせているが、以心伝心とはいかな い。あちら側はやはり異世界、この世とは別の理を持っているのだ。こちらの意思を、向こう にわかりやすいものに翻訳して伝える必要がある。 それは、たとえば言霊による詠唱。たとえば陣の描画。たとえば動作。 方法は千差万別だ。一定の法則が見られるという意味では異国語に近いかもしれない。煉術 の力量は、その『異国語』――儀式をどう使いこなすかによるところが大きかった。つまり、 如何に素早く、如何に単純に、如何に確実に、自分の望む仮想物質を作り出すか。
翻訳手段 用量・用法 言霊 言葉による翻訳。文章としての意味はない。[4] 儀式(ボディランゲージ) 舞などの動作による翻訳。腕の立つ煉術師ならば自然な動作の中に仕込むこともできる。また舞を使う煉術師は舞士と呼ばれる。 方陣(煉術陣) 高度な煉術を使用する際に描画する。五十センチ四方の陣で言霊で百編、動作では十分に相当。
陣の形状は緻密かつ複雑なため専門の人間が長大な計算を経た上でしか構築できない難易度。[5]
毒気が即座に反応してしまうため持ち歩くと他の煉術が使えなくなるデメリットが存在する。複合儀式 言霊、動作など複数の翻訳手段の組み合わせ。高等技術。 直接翻訳 生来から煉獄と繋がっているアルト限定の翻訳方法。第二冠級術式までの翻訳をほぼ存在しない。
位階
- 術の複雑さや規模に応じて第一~第六までの位が振られる
- 第一が最も複雑かつ時間がかかるもので、第六が簡単なもの。
- 高位のものは時間がかかるため実戦向きではないが使えるだけで歴史に名を残すレベル。
冠位としては第二冠――戦術兵器規模に相当するだろう。並の煉術師が十数人集まって陣 を敷き、長い時間の儀式を行ってようやく発動が可能になるほどの煉術。この冠位を単独運用 できるとなれば、それだけで煉術師の歴史に名を残すことが可能だ。
欠点
- 治癒に向かない
- 最終的に毒気に戻ってしまうため失った血肉を元に戻すことには使えない
- 治癒能力を促進する物質で傷を早く塞ぐ、傷口の細菌を死滅させるといった方法はある。
煉術で破損した細胞や組織を修復してもそれは一時的な作用しかなさず、すぐに毒気へと還 元されてしまう。むしろ毒気を傷口に注ぎ込むようなもの、逆効果とすら言える。 たとえ人体に悪影響を与えかねない煉術を平気で用いる闇医者であろうとも、この本質的な 仕組みには抗えない。故に彼らの治療法は常に強引だ。 掌を腹に当てて怪我の具合を確かめる。腹の中に異物感があった。 どうやら体内に小型の鍵器を埋め込んでくれているらしい。包帯の下には煉術陣を描いた 布が湿布のように貼られているのだろう。細菌の死滅や止血、細胞修復強化などの煉術が常時 発動中ということか。とはいえそもそもの傷が深いからこれでもまだ気休め程度だろうが。
- 身体強化もほぼ使われない
- 毒気を体内に流し込むため非常に深刻な副作用が考えられる。
- それでも鍛錬ができない箇所に使うことはある。
身体機能を高める煉術は幾つか存在する。筋力の増幅であったり反射神経の強化であったり、 動体視力の向上であったりと、どれも原理的にはそれほど高度なものではない。 だが当然ながら、使う者は少なかった。筋力や神経を強化し酷使すれば効果が切れた後に多 大な負荷がかかるし、何より煉術を体内にかけるというのは、煉獄の毒気を肉体そのものに流 し込むに等しい行為であるからだ。つまり大概の人間が、生体強化系煉術を使うよりも普通に 身体を鍛えた方がまし、と考える。 例外はごく一部。視力や聴力などの鍛えようがない部分を一時的に強化する場合と、それか ら――頭のいかれた奴が自らの身体を省みずに使う場合、だ。
- 毒気が別の煉術に反応してしまい暴発するリスクがある
- 呼び出した毒気を翻訳する最中に別の言霊を割り込まれて暴発したり、元々あった煉術陣に反応してしまうケースがある。
- 毒気が多いほど予期せぬ失敗が起きる可能性が高い。
- 高冠位の煉術を陣として持っている場合、他の術は使えなくなってしまう。(作中の実力者は様々な方法でこれを回避している)
煉獄の毒気は、発生したその場で行われた儀式に対して無差別に反応する。 言ってみれば瓦斯に燐寸の火を近付けるようなものだ。毒気は自分で儀式を選択などしない。 故に先んじて干渉すれば、上書きも可能となる。 もちろん、通常の鍵器では毒気の量も少ないから敵の儀式に反応して煉術が暴発するという ことは稀である。ただ、それはあくまで『自分ではない誰かの儀式』に対しての話。 たとえば――自分が陣を描いた紙を持っていたりなどした場合、毒気を喚び出した瞬間その 術式が勝手に稼働してしまうという現象が生じる。 フォグが腹に仕込んでいた治癒煉術などのように常時発動しておいても構わない類のものな らば、新たに湧かせた毒気で他の術式を稼働させることも可能だが、そうでなければ。 仮に切り札として隠し持つのであれば、他の煉術は使えない――。
煉禁術
仮想物質を現実に定着させる禁術
- この世にない性質の仮想物質を現実へ定着させる煉術および成果物の総称
- 本来ならば時間経過で還元・消滅する煉術の仮想物質の寿命を延ばし、現世の物質に置換させていくことでできる。
- 無から有を生み出すことが可能になる。
定義は単純だ。煉術で創成した仮想物質――本来であれば時間の経過とともに毒気へ還元さ れ消えてしまうもの――を、恒久的な物質、仮想でない実在へと置き換え、現世へと定着させ る技術。それを総じて、煉禁術と呼ぶ。 たとえば煉術で黄金を創成したとする。これは煉獄の毒気が長く存在できない現世にあって あくまで一時的、仮想的な黄金だ。存在している間に限っては科学的に見て本物の黄金と何ら 変わりないが、時を置けば煉獄の毒気へと戻り、現世の空気に蝕まれて消えてしまう。こちら 側の森羅万象が煉獄で生きていけないのと同様に、煉獄から生まれたすべてのものもまた、こ ちら側では永続的に存在し得ない。 だが、これを無理矢理に現世へ定着させる方法がある。煉術でできたその仮想的な黄金に特 殊な煉術を重ねて寿命を延ばし、更に長い時間をかけて徐々に、構成分子を現世のものへと置 換することにより、本物の黄金へと変化させるのだ。
- 全ての物の価値がなくなり、かつ秩序を崩壊させる
- あらゆるものを無から作り出し、この世にはない物質や生命が生まれてしまうため禁術とされた。
煉禁術の使用、並びに民間による研究の一切が法によって規制される理由は幾つかある。 まずは、経済を乱すこと。 仮に無から黄金を創り出しばらまく者がいれば、市場が混乱するだけでは済まない。もちろ ん黄金に限った話ではなく、農作物や日用品、糸や布、紙などに至るすべての物質も同じだ。 富という概念自体が崩壊し、社会そのものが成立しなくなってしまう。 そしてそれ以上に問題なのは、煉術の持つ、物質の創造という根本的な性質だった。 (中略) さっき咲いた薔薇もそうだ。たとえばあれに『動くものに襲い掛かり絡みつけ』という性質 を持たせることは煉術で可能だし、実際にそれとよく似た術式も存在する。だが、そんな植物 を一時的に創り出すのと、そんな植物が新しい生態系に加わるのとでは、天と地ほどの違いが ある。いや、後者は地の底、まさしく地獄の光景だろう。
- 素人が手を出すのは不可能
- 資金、時間、複雑な煉術の使用に加えて長時間毒気を吸い続けるリスクが存在する。
煉禁術というのは、素人がほいほいと手を出せるような技術では決してない。複雑さや難解 さは煉術の比ではなく、必要とされる毒気の量も同様なのだ。実現には莫大な資産と時間、そ れに圧倒的な才能に加えて毒気を長期間に亘って浴び続ける覚悟が必要になる。仮に黄金を創 り出そうとしても、費用の面を考えればむしろ足が出てしまうだろう。 とはいえ、だからこそ手を出すという輩も、少数ながら存在するのが実情である。
その他
元ネタ
- 錬金術
- 狭義では、化学的手段を用いて卑金属から貴金属(特に金)に精錬しようとする試みのこと。
- 広義では、様々な物質や、人間の肉体、魂をもより完全な存在に錬成する試みを指す。
- 西洋錬金術の起源は古代エジプトの冶金術と考えられている。
- 錬金術の試行の過程で、硫酸・硝酸・塩酸、王水、火薬などの化学薬品、蒸留、磁器製造技術の考案、実験道具が発明された。
- また、旧説、旧原理が否定され、ついには科学である化学に生まれ変わった。
地方 錬金術の内容 古代ギリシア アリストテレスの質料・形相論による黄金錬成理論の発達。
宝石の作成方法101種類(『ライデン・パピルス』)
宝石の作成方法73種類、金属変性法7種類、着色法70種類(『ストックホルム・パピルス』)西ヨーロッパ チェスターのロバートによる『Morienus』のラテン語に翻訳。
アルベルトゥス・マグヌスのヒ素発見。
トマス・アクイナスやロジャー・ベーコンによる金属生成の実験。
パラケルススの完全物質アルカナ(エリクサー)生成理論の提唱。
パラケルススを祖とした不老長生薬の発見を目的とするイアトロ化学(iatro-chemistry)派の誕生。東洋(主にインドと中国) 中国の『抱朴子』などによると、「煉丹術(錬丹術)」と呼ばれる化学的手法の発達。
辰砂などから冶金術的に不老不死の薬・「仙丹」を精錬するための原料として金を創造。
- 産業革命
- イギリスで18世紀半ばから19世紀にかけて起こったエネルギー・産業の変革と社会構造の変化。
- 蒸気機関の開発で動力源が刷新され、ほぼ全ての産業が技術革新・発展した。
関連項目
引用元
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P28-30
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P30
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P33
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫 五幕. アスキー・メディアワークス, 2012, P139
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P50
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫 三幕. アスキー・メディアワークス, 2011, P162
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫 六幕. アスキー・メディアワークス, 2013, P27-28
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫 五幕. アスキー・メディアワークス, 2012, P104
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫 六幕. アスキー・メディアワークス, 2013, P198-199
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P113-114
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P114-115
- ↑ 藤原 祐. 煉獄姫. アスキー・メディアワークス, 2010, 314. P115-116